Research Abstract |
本研究では,.AI-Si融体を介した溶解析出機構による多孔質MO(Si,Al)_2焼結体の作製とその微細組織の制御を目的としている.昨年度の研究により, (1) 自己燃焼を起こさない温度では,MO(Si,Al)_2はほとんど生成せず,固化しない. (2) 粉末成形体の相対密度を60%程度と比較的小さくすると,自己燃焼焼結した後,クラックがない多孔質体が得られる.しかし,機械的強度が非常に低い. (3) 相対密度75%程度の高密度成形体を用いて自己燃焼焼結を行うと,焼結体にクラックが発生する. ということがわかった.この結果をふまえて,本年度はAl-Si融体を介した溶解析出機構によるMo(Si,Al)_2の生成と焼結を同時に行う焼結法ではなく,自己燃焼焼結に注目して,焼結挙動と多孔質特性を調査した.その結果,通常の自己燃焼焼結では周囲から試料中心に向かって自己燃焼反応が伝播し,表面が先に固化するため,内部の自己燃焼焼結による収縮のために表面にクラックが発生することが明らかになった.そこで,自己燃焼の伝播方向を試料の長手力向に一方向化することで,クラック生成を抑制して焼結することに成功した.焼結体の相対密度はAl濃度の増加に伴い増加した.Al置換量が最も少ない15mol%の試料では相対密度65%となり比較的良好な多孔質性を示した,また 開気孔率は30%となり,閉気孔利率は5%と比較的高かった. 組織観察の結果を併せて考えると,自己燃焼界面でMoがAl-Si融体に過飽和に溶解し,自己燃焼界面の移動に伴う融体温度の低下に従ってMo(Si,Al)_2として析出するというメカニズムが考えた.自己燃焼中に外部に排出されなかったボイドが自己燃焼焼結後も閉気孔が存在すると考えられる.積極的に開気孔を導入する方法として,Al濃度をさらに低くして,自己燃焼時に生成するAl-Si融体を減らして緻密化を抑制するか,出発原料にMo(Si,Al)_2粒子を入れて自己燃焼反応領域の固相量を増加させることが考えられる.
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