Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
ステンレス鋼はその表面にナノスケールのバリアー型不働態皮膜を自発的に形成する,いわば自己修復機能を示し,環境劣化(腐食)を自発的に抑制する.本研究では,バリアー型不働態皮膜の形成段階もしくは荷重付加段階で光照射を行うことにより自己修復機能をさらに強化したステンレス鋼の耐環境脆化性を検討した. 本年度は,CCDマイクロスコープを導入した低ひずみ速度環境脆化試験装置に,自作した電解質水溶液中の引張試験片表面に紫外線を照射できる反応槽を組み合わせ,充分に脱気された0.001MNaCl水溶液(95℃)中における鋭敏化304ステンレス鋼の環境脆化に及ぼす紫外線照射の影響を調査した.試験中の試験片は-200mV(SSE)に固定された.その結果,試験開始から0.2%耐力をわずかに超える時間(18ks)まで紫外線を照射すると,未照射材に比べてき裂発生数が顕著に減少し,試験開始前の応力無負荷時に同じ時間(18ks)紫外線照射を行った場合にはき裂発生数が未照射材とほぼ同様であることが明らかになった.試験前の不働態皮膜の影響を検討するために.試験開始直前の0.9ks間,-200〜0mV(SSE)の所定の電位で不働態皮膜を形成させ,試験開始直前に-200mV(SSE)に戻して試験を行った.その結果,0mV(SSE)の場合には照射の有無に関わらずき裂発生数が極めて減少したが,それ以下の電位の場合には未照射に比べて照射した方がき裂発生数が減少した.一方,き裂進展速度は,照射,未照射,皮膜形成電位など様々な条件の変化に関わらず,平均して5×10^<-8>m/sであった.以上のことから,紫外線の照射はき裂発生のみ抑制することで,環境脆化を抑制し,塑性変形の開始時点まで紫外線を照射することが環境脆化の抑制に重要であることが明らかになった.
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