Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
1. 糖類アモルファス構造の安定性に及ぼすタンパク質の影響 糖,タンパク質としてそれぞれスクロース,BSAを用い,スクロース濃度30mg/ml,BSA濃度0-30mg/mlの数種類の水溶液を調製した.この水溶液を液体窒素で瞬間凍結し,凍結乾燥した.水分活性は0,0、11,0.23,0.33の4通りに調整した.示差走査熱量計を用いてスクロース-BSA凍結乾燥試料のガラス転移温度Tg,結晶化温度Tcr,融点Tmを測定し,それらに及ぼす水分活性,BSA含有量の影響について検討した.どの温度も水分活性の増加とともに低下した.Tgは水分活性が0の場合を除き,BSAの添加により上昇した.TcrはBSAの含有量とともに直線的に上昇し,Tmは変化しなかった,BSAの添加によるTgとTcrの上昇からタンパク質は糖類アモルファス構造の安定化に寄与していることがわかった. 2.糖類アモルファス構造に及ぼす凍結条件の影響 糖にはスクロースとトレハロース,タンパク質にはLDHを用いて,糖濃度20mg/ml,LDH濃度3.5mg/mlの水溶液を調製し,-30℃で30分間凍結(緩慢凍結)する方法と,-196℃で1分間凍結(急速凍結)する方法の2通りの方法で凍結した.得られた試料を凍結乾燥し,絶乾処理の後,試料を窒素雰囲気下65℃で3週間保存を行い,LDHの残存酵素活性の経時変化を調べた.その結果どちらの糖を用いた場合も緩慢凍結した方が急速凍結するより活性保持の度合いが高かった.この理由を考察するためX線回折測定を行い,動径分布関数を求めた. その結果,急速凍結試料と緩慢凍結試料はどちらも糖分子がアモルファス構造を形成しているが,急速凍結試料より緩慢凍結試料の方がより不規則な構造であること,このアモルファス構造の違いにより酵素活性保持の度合いが異なることが示唆された.
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