Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
1. エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)からなる両親媒性高分子(Pluronic)ミセル水溶液の二相分配系におけるタンパク質の抽出挙動を調べた.また,抽出に及ぼすイオン界面活性剤の添加の影響についても検討した。PluronicにはEOとPOの配列が異なるL61と25R2の二つのタイプを用いた。L61の系では,疎水性タンパク質が抽出された。この系にタンパク質と電荷が同符号のイオン界面活性剤を添加すると抽出は抑制され,逆に異符号のとき抽出は促進された.これは,界面活性剤相においてL61とイオン界面活性剤が荷電混合ミセルを形成し,タンパク質と静電的相互作用をしたためと考えられる。一方,25R2の系においては,サイズの大きな疎水性タンパク質は抽出されなかった。また,タンパク質と電荷が異符号のイオン界面活性剤を添加しても,抽出は促進されなかった。これは,25R2ミセルがネットワークを形成し,タンパク質に対して排除効果が働くためと考えられる.したがって,本二相分配系においては,タンパク質の電荷ならびにサイズが抽出を制御していることを明らかにした. 2. 昨年度までにTritonX-114/硫酸デキストランミセル水性二相分配系が肝ミクロゾーム(Ms)中のチトクロムb_5(b_5)の選択的抽出に優れた系であることを明らかにした。本年度はこの二相分配系を用いてブタ肝Msからb_5の精製を行った。ボリマー濃度,pHならびにイオン強度などの抽出条件を検討した結果,わずか3回の繰り返し抽出を行うことで,SDS-電気泳動において単一のバンドになるまでb_5を精製することができた。従来法では,同程度の精製度を得るのに数日から数週間を要していたのに対して,本法はわずか数時間の作業で精製を行うことが可能であった。したがって,本二相分配法を用いたb_5の迅速な精製法を確立することができた。
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