Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
速い電荷移動が発現できる構造規則性高分子系の設計を目的として、前年度の計算結果、合成法を参考に、αヘリックスおよびβシート構造を有するポリペプチド側鎖にトリスビピリジルRU錯体(Ru(bpy)3^<2+>)を静電吸着させた高分子膜を調製、その電気化学挙動、光電特性を検討した。また、成膜時に電場を印加することで電極上での高分子自体の配向性を制御することができるため、より速い電荷移動系の設計を目的として、電場配向処理を施した系に関しても検討した。側鎖にRu錯体を静電吸着したポリペプチドの電荷移動および光電特性調製した膜がαヘリックス・βシート構造をとることはCDスペクトルより確認した。膜中での電荷移動挙動は電気化学系における見かけの拡散係数より評価し、構造規則性を持たない系と比較検討した。構造規則性を持たない系に比べαヘリックス系では約1桁高い拡散係数(1×10^<-9>cm^2/scc)が認められた。また、静電吸着量を増やすことでその差は大きくなり20倍以上大きな拡散係数が得られた。βシート系においてもαヘリックス系より小さいものの高い拡散係数を示したことから、構造規則性、それに伴う側鎖配列規則性が優れた電荷移動特性の発現を導くことが明らかとなった。光電特性もこの結果を受け、α-ヘリックス系がもっとも高い値を示した。電荷移動および光電特性に及ぼす電場配向効果電場配向処理を施すことでαヘリックス系の拡散係数は約1.5倍また光電流は3倍以上大きな値が得られた。電場配向によりポリペプチド主鎖が膜厚方向に並ぶことで、電荷移動に対し有利な経路が形成され、不活性であったRu(bpy)3^<>2+サイトをも電荷ホッピング可能となるため電荷量・拡散係数の増大を導くことが考えられる。以上電場配向処理により光電特性が向上することが明らかにされ、電場配向処理を施したαヘリックス系が最も優れた光電特性を有することが示された。
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