ラダー骨格に複数の安定ラジカルを持つ共役ポリマーの合成と擬二次元的強磁性相互作用
Project/Area Number |
09750969
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
高分子合成
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金子 隆司 新潟大学, 工学部, 助手 (90272856)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | π共役高分子 / ステップラダー / ポリラジカル / アントラセン / ポリ(アントリレンエチニレン) / 磁気的相互作用 / 高分子磁性体 / 分子磁性 / pi共役高分子 |
Research Abstract |
本研究では、ポリラジカルでの強固な磁気的結合を実現するため、アントラセンなど共役ラダーオリゴマーに複数の安定ラジカルを導入した擬二次元的なスピン連結構造の構築を目的としている。今年度は一次元方向のスピン連結構造を確立するため、アントラセン骨格をエチニレンで結合したステップラダーポリラジカルおよびそのバイラジカルモデルを合成し、その磁気的相互作用を定量的に議論した。 1. 初年度の研究成果に基づき、ポリラジカルに対応するオリゴラジカル分子として、アントラセン骨格をエチニレンカップラーで結合したフェノキシバイラジカルを合成した。 2. 初年度に合成したフェノキシル前駆体置換ポリ(アントリレンエチニレン)と1で合成したバイラジカルモデルおよびモノマーの可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルからは、重合度に伴う吸収および蛍光極大の長波長シフトが認められ、かさ高い置換基を持つにも関わらず主鎖の共役系が発達していることが明らかとなった。低スピン濃度のポリラジカルの溶液ESRからは、モノマーラジカルに類似の複雑な超微細構造が観測され、主鎖のアントラセン骨格までスピン密度が分布していることが示唆された。また、バイラジカルモデルの77Kのトルエングラス中のESRスペクトルにおいてもg=4に三重項スペクトルが観測され、ポリラジカル分子内でのスピンカップリングが検証された。 3. SQUIDを用いたポリラジカルの磁気測定による温度と磁化率の相関について、トリラジカル、バイラジカル、モノラジカルの総和として仮定した理論式を用いてカーブフィッティングにより算出した交換相互作用定数2J=39±2cm^<-1>は、ポリラジカル構造の共平面性に対応する大きな値を示した。さらにバイラジカルにおける交換相互作用定数2J=31±3cm^<-1>も、ポリラジカルの結果を支持した。 以上、アントラセン骨格が導入された共役主鎖を持つポリラジカルを合成することで、大きな交換相互作用を持つ共役系を介した強磁性的な相互作用を実現した。また、このアントラセン骨格は立体障害を与えずにさらに置換可能な部位を有することから、スピンラダー構造を始めとしたさらなる磁気的相互作用系構築のための基本骨格となりうることを示した。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)