Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
本研究では、細胞質遺伝、特にミトコンドリアの機能を制御する新たな遺伝子を同定し、これらの解析をすすめると同時に、分子育種に応用するための基礎的知見を得ることを目的とし、今年度は以下の研究を行った。● オオムギ葉緑素突然変異系統wst-3の解析オオムギで葉や穂に縞模様の形質を引き起こす突然変異系統wst-3における形質発現とオルガネラの変化について調べた。wst-3では、「縞」形質の他に一定の比率でアルビノ個体を分離する。wst-3系統と野生型品種「赤神力」との正逆交雑における交雑後代Fl種子でのアルビノの出現を調べた結果、アルビノはwst-3を母親とした時のみ分離する、すなわち、アルビノの出現は母性遺伝することが明らかとなった。野生型、wst-3、アルビノの3種類の個体について、往性遺伝を司るオルガネラである葉緑体・及びミトコンドリアを電子顕微鏡によって観察したところ、白色化した組織における葉緑体の形態異常は見られたが、ミトコンドリアについては特に異常を示す形態は観察されなかった。● ミトコンドリア制御遺伝子の解析今年度は、ミトコンドリア機能を制御する新たな植物の遺伝子を単離する目的で、ABC1遺伝子の変異により呼吸欠損を示す酵母の突然変異体用いた相補系で、シロイヌナズナで同様の機能を示す遺伝子AtABClを単離した。単離した遺伝子は1コピーであったが、EST及びデータベースの解析から、ABClと一部相同性を示す遺伝子がシロイヌナズナに存在することが示唆された。
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