Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
キャッサバは植物体内の水分状態を高く保つことで長期間の早魃にも耐えることができる.本研究では,高い水ポテンシャル域で閉鎖する気孔反応に着目して,植物体内外の水環境が気孔の開閉に及ぼす影響について調べた.実験では,低土壌水分下における葉内糖類およびアミノ酸の動態と,葉が低湿度空気にさらされたときの気孔反応を調査した. 土壌が湿潤なときには,葉身のスクロースがキャッサバ葉の浸透ポテンシャルを制御するおもな物質であり,葉身のスクロース含量がある程度増加すると光合成産物はデンプンの形態で葉身に蓄積され,スクロースの過度な集積を抑えることがわかった.土壌が乾燥すると,葉身内のプロリン含量がわずかに増加するものの,他の溶質の集積は見られず,またスクロース含量も低く推移するため,浸透ポテンシャルは高い値で安定していた.この浸透ポテンシャルが恒常的に高く保たれることで,葉の水ポテンシャルのわずかな低下に対して膨圧が減少し,気孔が閉鎖すると考えた. 一方,最近の研究でキャッサバの気孔は葉の膨圧が同じでも湿度が低下すると閉鎖し,孔辺細胞は乾燥空気に触れることでも容易に膨圧を失うことが報告されている.しかし従来の気孔開度の測定は,チェンバーの入口と出口の湿度差をもとに計算するものであり,湿度が変化する条件下では測定上の問題が指摘されている. そこで本研究では,チェンバー内の湿度を変えて,そのときの気孔反応を超拡大CCDカメラで直接観察することにした.実験では,葉の透過光を光源として葉裏面の気孔を観測したが,ハレーションのために気孔開度の微妙な変化を計測するにはいたらず,精密なデータを得るためにはさらに計測システムを工夫する必要がある. また,この超拡大CCDカメラの他の実験への適用性を知るために,根箱に栽植したシコクビエの根系調査に用いたが,根系の発達過程や組織の観察などに有効であることがわかった.
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