タカサゴユリとテッポウユリの種分化の分子進化学および生理学的検証
Project/Area Number |
09760036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
園芸・造園学
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
比良松 道一 九州大学, 農学部, 助手 (30264104)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 種分化 / タカサゴユリ(Lilium formosanum) / テッポウユリ(Lilium longiflorum) / 遺伝的分化 / 生態的分化 / 園芸資源 / タカサゴユリ / テッポウユリ |
Research Abstract |
本研究は、テッポウユリとタカサゴユリの野生集団を材料として遺伝的構造や生態を比較し、両種の分化のプロセスを検証する事を目的として行われた。 2種の集団分布、開花時期の調査、および種間交雑実験により、これら2種間には、完全ではないものの、野生状態では雑種の出現が困難な程、地理的、季節的、および生殖的隔離が働いていた。タカサゴユリのテッポウユリとは異なる分布域への適応には、個体が生産する物質の投資配分が地上部に重点を置くように変化したことが大きく貢献していると考えられた。 また、テッポウユリ26集団、タカサゴユリ4集団について11種のアイソザイムの変異を調査したところ、テッポウユリではG_<ST>の価が0.088〜0.701(平均0.332)となり、集団間の分化が高等植物としてはかなり進んでいた。また、集団の遺伝的多様度Heも0.075〜0.267(平均0.158)と比較的高がた。これらの事実から、テッポウユリは列島弧の島々が地続きであった比較的古い時代に列島弧に沿って分布域を広げ、その後各集団が、島嶼群形成の過程においてボトルネックのような影響をさほど受けずに、比較的長期間に渡って隔離されてきたと推察された。 一方、タカサゴユリではG_<ST>が0〜0.283(平均0.97)、Heが0.093〜0.172(平均0.129)とテッポウユリよりも低くなる傾向がみられた。この結果と、テッポウユリよりも内陸部への分布拡大能力が高いタカサゴユリが、過去に台湾と地続きであった琉球列島の島嶼に分布していない事実をふまえると、タカサゴユリは、テッポウユリ、もしくはその祖先種から派生した比較的新しい種であると考えられた。さらに、調査した30集団における集団間の遺伝距離と地理的距離には非常に高い正の相関があり、タカサゴユリと遺伝的に最も近いのは台湾北部のテッポウユリ集団であった。従って、タカサゴユリとテッポウユリの分化した地域は列島弧の南部であると推察された。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)