リンパ行性癌転移モデルラットを用いた癌転移の分子機構解析
Project/Area Number |
09760075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
応用微生物学・応用生物化学
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
三浦 豊 東京農工大学, 農学部, 助教授 (10219595)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 肝癌細胞 / 癌転移 / リンパ行性転移 / 浸潤 / 遺伝子クローニング / stathmin / 腹水肝癌 |
Research Abstract |
本研究は、ラット腹水肝癌AH109Aから異なる臓器へとリンパ行性転移を示す細胞株を分離し、それらの細胞株において異なる発現パターンを示す遺伝子を単離し、その性質を解析することを目的としている。昨年度までの研究により既知遺伝子1種、新規遺伝子2種が得られており、今年度はこれらの内、新規遺伝子2種の構造解析と、申請者が一昨年度までに同様の研究により得ていた既知遺伝子であるstathmin遺伝子の機能解析を行った。そのためにAH109AのcDNA libraryを作製し、プラークハイブリダイゼーション法とファージDNAのアーム部分と得られている部分配列の一部をprimerとしたPCR法の2種の方法により、上記2種を新規遺伝子の全長cDNAの取得を試みた。しかし、より長いcDNA断片を取得したものの全長を得ることはできなかった。今後、全長の取得と機能解析に向けてさらに研究を進める予定である。一方、stathmin遺伝子については、既知の配列を元に全翻訳領域を含むcDNAをRT-PCR法により取得した後、発現ベクターにサブクローニングしたものをAH109Aにtransfectして、stathmin高発現AH109Aを作製した。この細胞は、ベクターのみtransfectした対照細胞に比べて、増殖能には大きな違いはないものの、培養器に接着した際の偽足形成が抑制され、またin vitroでの浸潤能も顕著に低下していた。さらに、尾静脈注射によりラットに移植したところ、対照細胞は肺を始め多くの臓器に転移巣を形成したのに対して、全く転移巣を形成せず、癌転移が完全に抑制された。stathminは細胞増殖との関わりにおいて研究が進められており、主として微小菅重合・脱重合の過程において中心的な役割を果たしていることが知られているが、癌転移との関わりについては全く報告されていない。しかし、本研究により得られた結果は、stathminが癌転移に深く関与していることを示しており、全く新しい知見である。さらにこの結果はstathminが今後の癌転移治療の新しい標的となりうる可能性をも示していると考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)