Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
食品アレルギーの発症機構の解明,またその予防・治療法の開発には経口投与された抗原に対する免疫応答の正負の免疫応答制御機構の解明が重要である.このような応答にはT細胞が重要な役割を果たす.本研究では卵白アルブミン(OVA)特異的T細胞抗原レセプター(TCR)トランスジェニックマウス(Tg)を用いて経口投与抗原に対するT細胞応答を解析した.既に,OVA特異的TCR-TgにOVAを経口摂取させると,脾臓においてTh2型サイトカインを産生するが,B細胞の活性化に重要な役割を果たすCD40L分子の発現能が弱いT細胞が誘導されることを明らかにしている.そこでこのT細胞におけるTCRからのシグナル伝達について検討した.その結果,細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させるイオノマイシンの添加により経口抗原により誘導されたT細胞のCD40L分子の発現能が回復した.T細胞においては通常TCRからの刺激により,イノシトール代謝系が亢進する結果細胞内Ca^<2+>濃度が上昇し,様々な細胞応答を引き起こすことが知られているが,経口抗原により誘導されたT細胞においてはこのカルシウム経路に何らかの障害があり,CD40L分子の発現能が弱いことが示唆された.このようなT細胞は,抗体応答を介助する機能(ヘルパー機能)が弱いと推測されたが,予想に反し,OVA特異的TCR-TgにOVA飼料を長期間摂取させると,強い血中抗体応答が誘導された.現在,このマウスにおける抗体応答誘導機序について検討中である.一方,OVAを経口投与したTCR-Tgにおいてパイエル板,胸腺において経口抗原による抗原特異的T細胞・胸腺細胞のアポトーシス誘導が示された。これより末梢T細胞のみならず,胸腺細胞のクローン消去も経口免疫寛容誘導に関与することが示唆された.
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