赤色酵母とアスタキサンチンが魚類に示すマルチ生物活性の発現機構について
Project/Area Number |
09760188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fisheries chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 俊樹 東北大学, 農学部, 助手 (10217797)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | アスタキサンチン / 魚類 / 魚類細胞 / 酸化的ストレス / 赤色酵母 / Phaffia rhodozyma |
Research Abstract |
【1】ニジマス細胞に与える種々の酸化ストレスと細胞障害評価法の検討: 供試培養細胞株として、ニジマス卵巣由来のRTG-2および鰭由来のRTTを用いた。これらは、何れも繊維芽様細胞である。細胞を10%ウシ胎児血清(FCS)を含むLeivovitz's L-15培地を用い、閉鎖系で培養した。過酸化水素、フェオフォルバイドおよびヘマトポルフィリンを酸化ストレス(活性酸素発生)源とした。その結果、酸化ストレス源としては、フェオフォルバイドが定量的であり再現性の上でも優れていた。このものは、光照射することにより反応液中において、一重項酸素(^1O_2)を発生しているものと思われる。また、細胞障害の評価法は、膜傷害の程度を培養液上清の遊離LDH活性(極東製薬)により、そして細胞の生存率は、テトラゾリウム塩を用いたWST-1法(同仁化学)により求める方法が、簡便性かつ迅速性であることが明らかとなった。以上確立した方法により、供試細胞株を処理したところ、RTG-2よりRTTの酸化的ストレスに対する感受性の方が高いことが分かった。【2】合成アスタキサンチン添加法: 細胞毒性を示さない低濃度のエタノール(1%、終濃度)およびジメチルスルホキシド(DMSO、0.01%)によりアスタキサンチン(ASX)をLeivovitz's L-15培地に溶解し、その中でRTTを培養してASXを取り込ませた。【3】 細胞の酸化的ストレスに及ぼす合成アスタキサンチンの添加効果:Cortland's BSS(FCSおよびCa無添加)中にて、ASXを取り込ませていないRTTを^1O_2で処理し、その後L-15培地に戻して24時間培養すると、LDH活性の上昇と生存率の低下が認められた。さらに、細胞の膨潤化が観察され、以上のことより、細胞はネクローシス様の細胞死を起こしているものと思われた。一方、ASXを取り込ませた細胞をROS処理してもLDH活性および生存率は共に^1O_2未処理の対照区レベルであった。また、膨潤化している細胞は非常に少なかった。すなわち、細胞に取り込まれたASXは、酸化的ストレスによる膜傷害および細胞死を効果的に抑制し、酸化的ストレスに対する感受性を低下させる効果のあることが、魚類の細胞レベルで明らかとなった。この結果は、ASXがin vivoで示す多彩な生物活性の発現の一因と思われる。 【4】以上のように、魚類に対しアスタキサンチンが有する生物活性の一端を、細胞レベルで明らかにしたのは、本研究が初めてであると思われる。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)