Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
I. 土壌流亡に伴う富栄養化成分の表面流出 畑地圃場にUSLE標準試験枠を作り,降雨に伴って表面流が発生する度に流亡土量と水質を観測した。採取した懸濁水のサンプルを濾過または遠心分離して上澄み水を得て,懸濁水および上澄み水に含まれる窒素,リン成分を比較して,土壌侵食が富栄養化成分の表面流出に与える影響について検討した。本研究の結果,懸濁水中の全窒素および全リン濃度は浮遊物質と相関を示し,上澄み水中の全窒素および全リン濃度を大きく上回った。無機態窒素については浮遊物質との相関はほとんど見られなかった。しかし,全ての窒素およびリン成分の流出負荷は流亡土量と正の相関を示した。また最も多量の施肥(628.5kg/10a)を行った試験枠における窒素およびリンの流出負荷は,他の試験枠を大きく上回った。これらの結果より,土壌流亡に伴って窒素およびリン成分の流出負荷が増大し,とくに多施肥試験枠においてこの傾向は顕著であることが明らかとなった。 II. 侵食過程における富栄養化成分の流出負荷予測 土壌侵食試験枠における観測の結果,流亡土量から富栄養化成分の流出負荷を求める関係式が下記で示され,相関係数0.78〜0.98の範囲内で相関が見られた。 loads = α・(Soil Loss)^β (1) 但し,loadsは懸濁水および上澄み水中の全窒素,全リン,および上澄み水中のアンモニア態窒素,硝酸態窒素,亜硝酸態窒素における各負荷量[g/frame]で,Soil Lossは流亡土量[g/frame]である。αとβは各成分項目に対応した係数である。また汎用土壌流亡式(USLE)によって流亡土量[Mg/ha]は下式で表される。 Soil Loss = R・K・LS・C・P (2) 但し,Rは降雨係数[KN・m^2/ha・h],Kは土壌係数[Mg・h/m^2・KN],LSは地形係数[無次元],Cは作物管理係数[無次元],Pは保全係数[無次元]である。各対象降雨について(1)式から流亡土量を求めて,(2)式の関係式に代入する。求まった流出負荷量を積算することによって,年間における流出負荷Loads[kg/ha・year]が算出できる。この土壌流亡に伴う富栄養化成分の流出負荷予測式は下式で示される。 Loads = α・Σ(Ri^^n__<i-1>・K・LS・C・P)^β (3) 今後,(3)式で示された流出負荷予測式の妥当性と適用範囲について検討する必要がある。
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