Project/Area Number |
09760269
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Basic veterinary science/Basic zootechnical science
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊吹 謙太郎 京都大学, ウイルス研究所, 教務職員 (00273524)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | T細胞白血病ウイルス / 類人猿・マカク属サル / 東南アジア / 遺伝子系統解析 |
Research Abstract |
T細胞白血病ウイルス(STLV-I/HTLV-I)の進化・起源を考えるに当たって、我々はアジアの類人猿・マカク属サルのSTLH-Iの分離および遺伝子系統解析を行っている。これまでにインドネシア産のオランウータン242頭と手長ザル160頭から採血を行い、HTLV-Iに対する血清抗体をスクリーニングしたところ、オランウータンで8頭(3.3%)また手長ザルで3頭(1.8%)陽性であった。これらの検体のリンパ球からDNAを抽出し、PCR法を用いてSTLV-IプロウイルスのPXあるいはLTR遺伝子の一部の増幅を試みたところ、オランウータン7頭でPX遺伝子の一部を増幅でき、6頭でLTR遺伝子の一部を増幅できた。昨年度までの解析でこのオランウータンのうち3頭を解析し、オランウータンのSTLV-Iは、非常に変異を蓄積をしたウイルスで2つのクラスターを形成することを明らかにした。今回はさらに3検体についてウイルス株の遺伝子解析を行い、その遺伝子塩基配列の一部を決定し、それに基づき分子進化系統樹を作成した。新たに解析した3検体はすべて、今までに我々が報告したオランウータンのSTLV-Iの2つのクラスターのうちの片側と類似しクラスターを形成し、もう一方どはクラスターを形成しなかった。今回の解析からオランウータン・手長ザルのSTLV-I陽性率はそれぞれが3.3%、1.8%程度であることがわかった。また、これまでに報告したオランウータンのSTLV-Iはすべてカリマンタン産のオランウータンから分離・解析をおこなったものであるが、今回解析した3頭のうち1頭はスマトラ産であり、カリマンタン産とスマトラ産のオランウータンから得たSTLV-Iが1つのクラスターを形成することがわかった。このことはオランウータンがカリマンタン産とスマトラ産に種として分岐する以前の過去に、このウイルスが既に感染していたことを推測させる。また、オランウータンのSTLV-IはHTLV-Iの3つのグループの中で最も変異を蓄積したMeIanesianグループと系統樹上で同じような分岐パターンを示すが、それほど類似していないことから、メラネシア周辺に存在するHTLV-1変異株の起源をオランウータンとするのは考えにくいが:Me!ar)esianグループは明らかにアジアのSTLV-1に類似しているので、オランウータンも含め、より多くのSTLV-1株を様々なサル種から分離し解析する必要があると思われる。
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