Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
ある種の重金属の放射線防護作用は,ラジカル消去能を有するメタロチオネイン(MT)の誘導によるものと考えられてきたが,MT以外の因子の関与を示唆するデータも報告されている。本研究では,生体内の様々な防御機構の内,ラジカル消去系のMT,SOD,GSHに加え,分子シャペロンとして注目を集めているHSPに着目し,重金属類の放射線防護作用の機序解明を試みた。 ICR系の成熟雄マウスにMgCl_2,MnCl_2,またはZnSO_4を0.1または1mmol/kg腹腔内投与し,24時間後に肝臓,腎臓,脳,および腸粘膜のMT(Cd-hem法),SOD(亜硝酸法),GSH(DTNB法),HSP-25,60,70,90(ELISA),および元素濃度(PIXE法)を測定した。また,同様に処置した一群41〜51匹のマウスにX線を7.0Gy照射し,その後30日間観察することによって,放射線括抗性誘導の有無を検証した。 MT含有量は,Mn投与群およびZn投与群で有意な増加が認められたものの,Mg投与群では変化が見られなかった。SOD活性は,各投与群において有意な低下が認められた。HSP-25,60,70,90およびGSH含有量には変化が認められなかった。Mn投与群において組織中Mn濃度の増加が,Zn投与群においてZn濃度の増加が認められたものの,Mg投与群では元素濃度に変化は見られなかった。X線照射マウスにおける死亡率は,Mn投与群およびZn投与群において有意に低かった。Mg投与群における死亡率も対照群のおよそ70%に低下したものの,統計的に有意な変化ではなかった。 以上の結果は,重金属類の放射線防護作用が主にMTによるものであることを示しており,HSPの関与を示唆するデータは得られなかった。しかし,統計的に有意ではなかったものの,MTを誘導しないMgによっても死亡率の低下が認められたため.さらに詳細な検討を要するものと考えられた。
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