Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
1. 研究の背景 プロテインホスファターゼ2A(PP2A)は真核生物に広く分布し,代謝調節,細胞周期,DNA複製,細胞骨格の制御など多彩な細胞機能において重要な役割をになう。哺乳類のPP2Aは,触媒サブユニットCと調節サブユニットAとが結合した2量体,あるいはこれに第3のサブユニットが結合した3量体である。第3のサブユニットは複数の分子種からなる調節サブユニットで,B,B',δおよびPR72の各サブユニットが存在する。このうちδとB'とは高い類似性を有しており,一つのファミリー(δ/B'ファミリー)を構成する。δ/B'ファミリーはヒトでは5つの遺伝子にコードされる。これらの調節サブユニットはPP2Aの基質特異性や細胞内局在を制御しており,このようなサブユニット構造の多様性がPP2Aの機能の多様性の基盤となる。 2. 研究成果 分裂酵母にもδ/B'ホモログの遺伝子が2つ存在することを見いだし,pbp1^+,pbp2^+と命名した。PbP1^+遺伝子産物は548アミノ酸残基,pbp2^+遺伝子産物は627アミノ酸残基からなると推定された。これらとδとは約400アミノ酸残基にわたって,50%以上のアミノ酸が一致していた。pbp1^+遺伝子破壊株では,YPD培地上で低温および高温感受性の増殖障害が認められた。この増殖障害はpbp1^+とpbp2^+の二重破壊株ではより顕著であった。また,pbpl^+破壊株では,隔壁をもつ細胞の増加がみられた。pbp1^+,pbp2^+二重破壊株では,隔壁をもつ細胞がさらに増加し,細胞の伸長と多隔壁化がみられた。この二重破壊株では,細胞の枝分かれや,無核の細胞も認められた。以上の結果から,pbp1^+とpbp2^+は,細胞増殖,細胞質分裂,細胞の極性の制御,有糸分裂における染色体の分離などにおいて,一部重複した機能をはたしていることが明らかになった。pbp1^+破壊株にみられる異常は,ヒトδのcDNAを導入することにより抑圧されたことから,δの機能は進化の過程で高度に保存されていることがわかった。
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