Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
これまで私たちは胃癌組織の分化と遺伝子異常の関わりを報告してきた.胃癌発生初期の形質をよく保持していると考えられる粘膜内癌を対象として,癌細胞の細胞分化を,胃と腸の粘液に特異的な抗体を用いて調べたところ,これまで"intestinal type"carcinomaとされてきた分化型腺癌の多くが胃型の形質を発現していることを明らかにした.この研究の中で,胃腺窩上皮に酷似した「胃型腺癌」という疾患概念を発表してきたが,これは見かけ上異型性が乏しく,しばしば過形成として見逃されるが,浸潤性の高い病変であることが注目されてきた.胃型腺癌は組織発生的に(1)固有胃粘膜からdenovoに発生するもの,(2)過形成性ポリ-プに関連して発生するもの,そして(3)胃型腺腫に関連して発生するものがあることを示し,これらの病変についての診断基準を提唱した.これら「胃型」病変の遺伝子遺伝子異常を検討したところ,P53遺伝子の異常については胃固有粘膜,過形成性ポリ-プあるいは胃型腺腫については認められない(通常の腸型腺腫〔異型上皮〕には検出されることがあった)が,胃型腺癌では30〜40%が陽性となった.一方,DNA多形マーカーを用いた検索では胃型の病変ではmicrosatellite instabilityはほとんど認められず,APC遺伝子の存在する染色体5qのloss of heterozygosity(LOH)は純粋な「腸型」の病変しか確認できなかった.さらに,comparative genomic hybridization(CGH)法を用いて検討を続けているがこれまでのところ明かな染色体異常は確認できなかった.
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