Project/Area Number |
09770172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
寄生虫学(含医用動物学)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野崎 智義 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60198588)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | トリパノソーマ / 睡眠病 / ヌクレアーゼ / アフリカ睡眠病 |
Research Abstract |
我々はアフリカトリバノソーマ症の原因原虫であるTrypanosoma bruceiよりヌクレアーゼ遺伝子(TbNUC1)を分離・同定した。TbNUC1がコードする蛋白のアミノ酸一次配列を他種のヌクレアーゼと比較したところ、哺乳類のエンドヌクレアーゼGとの高い相同性が見られた。更に、間接蛍光抗体法を用いた細胞化学的検討によると、ミトコンドリアの集合体であるキネトブラストの両端に局在することが明らかとなり、ミトコンドリアのDNA複製・代謝に関わる酵素である可能性が強く示唆された。更に、大腸菌による組み換え蛋白(rTbNUC1)を作製し、競合阻害実験などにより、基質特異性及び特異的なヌクレアーゼ作用部位の特定を目指した。その結果以下の知見を得た。(1)rTbNUC1は環状及び直鎖状DNAを同様の反応速度で切断する。(2)rTbNUC1のDNA切断部位に特異性は見られない。特に、哺乳類のホモログであるエンドヌクレアーゼGに見られるようにポリG或いはポリCに対する親和性は見られなかった。更に、既存の阻害剤を用いて阻害実験を行ったところ、モノヌクレオチドpdTpでは阻害が見られなかった。しかし、2価のコバルトでは中等度の阻害が見られ、リード化合物としての可能性が示唆された。また、TbNUC1の機能を理解するために、トリパノソーマのノックアウトを作製した。ネオマイシン及びハイグロマイシン耐性遺伝子によるToNUC1遺伝子の置換は達成されたが、ゲノム上の内因的遺伝子の完全欠質には到らなかった。この結果はディブロイドゲノムあたり、3コピー以上存在するか、本遺伝子産物が原虫の生存に必須であり、アニューブロイドを生じたことを示唆している。以上、トリパノソーマヌクレアーゼの特異的生化学的性質及び必須性は、本酵素が薬剤開発の有望な標的分子であることを示している。
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