Research Abstract |
体重の増加以上に体脂肪率の増加が著しい中高年女性の隠れ肥満について,頻度,安静時代謝,運動量,食事,体力の実態について検討した。対象は,重大な疾患を有していない50歳以上の女性で,頻度については67名(59.4±5.7歳),その他の項目の多くは37名(59.7±5.7歳)を対象とした。体脂肪率は,体密度法の一種であるSF_6ガス希釈法(島津製作所製BSF200)を用いて推定した(Hattori et al.,1994)。 1. 頻度;平均のBMIは22.8±2.7kg/m^2,体脂肪率は35.8±4.5%であった。このように平均の体脂肪率が若年者より約10%高いため,本研究では「BMI<25kg/m^2,体脂肪率>35%」を隠れ肥満とした。その結果,肥満者は37名(55%),うち隠れ肥満と判定された者は23名(34%)であった。隠れ肥満群は,体脂肪量は非肥満群と肥満群の中間に位置し,除脂肪量は両群より有意に少なかった。 2. 安静時代謝・運動量・食事;エネルギーの消費や摂取について3群間で比較した。安静時代謝量は非肥満群・隠れ肥満群・肥満群それぞれ983,1073,1150kcal/日で,除脂肪量の少ない隠れ肥満群が特に小さいわけではなかった。むしろ除脂肪量あたりでは3群で最も大きく,非肥満群より有意に大きな値であった。カロリメータで測定した運動量は最も小さかったが有意差はみられず,歩数,エネルギー摂取量や脂肪摂取量・割合その他の栄養摂取の諸変数も群間に差はなかった。このように,エネルギー消費・摂取に関して隠れ肥満群固有の特徴は見い出せなかった。 3. 血液性状;脂質および糖代謝の諸変数のほとんどにおいて,隠れ肥満群の平均値は肥満群と非肥満群の中間に位置した。レプチン濃度は,非肥満群と近い値で,ともに肥満群より有意に低値を示した。 4. 体力;最大酸素摂取量の絶対量では,3群で最も平均値が小さかったが有意差はみられず,除脂肪量あたりでみると差はより小さくなった。
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