Project/Area Number |
09770271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public health/Health science
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
坂村 修 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (80264711)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 1997: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 質問紙調査 / 近代化船 / 内航近代化船の試設計検討結果報告書 / 肉体的・精神的ストレス感 / 単位業務 / 職能単位 / 船員 / 労働負担 |
Research Abstract |
近代化船における就労状態が船員の健康状態に適したものであるか否かを検討することを目的に本調査を計画、実施した。現在、外航近代化船の開発は一段落して、内航近代化船の開発が進められている段階である。この様な状況に鑑み本研究も内航近代化船を中心に研究を進めることとした。ただし、内航近代化船の場合、現段階では定義や基準が存在しないため、近代化設備各機器については日本内航海運組合総連合会が1992年に公表した「内航近代化船の試設計検討結果報告書」で提唱された近代化設備を参考にした。本研究ではこの設備をすべて備えたものを近代化船として、検討するとともに、近代化設備各機器毎(以下近代化機器)の検討もおこなった。 研究は乗組員の精神的健康状態、設備基準に記載されている各近代化機器の有無、その有用性を中心に質問紙を作製して内航船88隻、乗組員999名に対して実施し、78隻、797名(平均年齢42.8±11歳)から回答を得た。(回収率88.6%、79.8%)このうち近代化設備基準をすべて満たしていた船は10隻、乗組員84名であった。 まず、全体について精神的、肉体的ストレスの有無をみたところ、全体の68.3%にあたる524名が精神的ストレスを強く感じていた。この精神的ストレスは運航スケジュールに余裕のない場合、停泊時間が12時間未満の場合等で有意に高く認められたが、近代化船設備を満足することで有意な差は認められなかった。このことから、内航船船員の精神的ストレスにおける運航スケジュールの関与は無視し得ないことが示唆された。また、今回の調査では近代化船と定義した船の数が少ないために、統計学的な有意差が得られなかった可能性も考えられた。次に各近代化機器の有無と職能別の精神的・肉体的ストレス感の有無を検討した。甲板部関係の各近代化機器の有無と甲板部乗組員のストレス感の有無の検討では双方の間に関連性は認められなかったが、機関部関係の各近代化機器では自動逆洗フィルターを有することによって機関当直時、機関整備時の肉体的ストレス感が有意に減少していた。また、遠隔操縦可能な主推進機関を有することによって機関部の入出港スタンバイ時における肉体的ストレス感が有意に減少していたほか、主機関の監視装置を有することによって、機関当直時の精神的ストレス感が有意に減少していた。また、各近代化機器の有用性についてはその殆どについて、有用性を甲板部、機関部ともに90%以上のものが認めていた。このことから機関部関係の近代化機器は職能単位のストレス感軽減に効果が認められたが、甲板部関係の近代化機器は職能単位のストレス軽減には至っていないことが考えられた。以上から機関部関係の近代化機器、特に機関遠隔操縦装置・監視装置が就労体制にまで変化を及ぼして、職能単位でのストレス感軽減効果を認めたのに対し、甲板部関係の近代化機器は単位業務レベルでの負荷改善の可能性はあるものの、職能単位レベルでのストレス感軽減には至らないことが示唆された。
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