Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
地域住民を対象にした生活習慣についての10年間の追跡調査成績を用い、睡眠習慣、特に睡眠の質と死亡との関連を検討した。 北部九州の4地区にて、1986年から1989年に実施した生活習慣調査に回答した人を、各自治体および管轄の保健所の協力を得て1998年まで追跡し、この期間の異動状況および原死因を把握した。生活習慣調査では、睡眠習慣に関し、質的側面では「入眠困難」「夜間覚醒」「早朝覚醒」「起床時の熟睡感」を、量的側面では「就寝時間」「睡眠時間」を尋ねた。 本研究では、年齢が40歳から84歳、かつ睡眠習慣および交絡因子(自覚的健康感、喫煙、飲酒、治療中疾病)の情報が得られた9202人を性、年齢(64歳以下、65歳以上)の4群別に検討した。解析にはCox比例ハザードモデルを用いて、モデルに各睡眠習慣を個別に投入し、上記の交絡因子をすべて調整した相対危険度(RR)と95%信頼区間(CI)を計算した。 65歳以上では死亡との関連を認める睡眠習慣はなかった。以下、64歳以下での結果を記す。全死因についてみると、女性では「入眠困難」(RR1 58,CI1.03-2.43)、「熟睡感なし」(RRl.68,CI 1.11-2.54)、男性では「睡眠時間9時間以上」(RRl.49,CI1.04-2.14)であった。癌では、女性の「熟睡感なし」(RR2.28,CI1.30-3.98)が有意にリスクを上昇させた。循環器(心臓・脳)では、女性の「入眠困難」(RR2.27,1.01-5.09)、男性の「何らかの睡眠障害」(RR1.81,CI0.93-3.53)、「就寝24時以降」(RR2.75,CI0.87-8.70)。癌・循環器以外の疾患では、女性の「夜間覚醒」(RR1.98,CI0.89-4.38)、「早朝覚醒」(RRO.93-5.14)、「何らかの睡眠障害」(RR2.79,1.03-7.55)、男性の「就寝10時前」(RR2.45,CI1.01-5.93)、「睡眠時間6時間未満」(RR2.89,1.35-6.23)、「睡眠時間9時間以上」(RR2.61,CI1.31-5.20)が高いリスクであった。 以上の結果より、睡眠習慣と死亡との関連は64歳以下でのみ認められ、睡眠の質との関連は女性に顕著、睡眠時間との関連は男性に顕著であること、さらに疾患によって関連する睡眠障害の種類が異なることが明らかとなった。
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