重金属および酸化的ストレスに対する生体内防御因子としてのメタロチオネインの役割
Project/Area Number |
09770288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public health/Health science
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
佐藤 雅彦 国立環境研究所, 環境健康部, 主任研究員 (20256390)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | メタロチオネイン / 重金属 / 酸化的ストレス / セレン / 遺伝子欠損マウス / 生体防御 / 炎症 / フリーラジカル / グルタチオン / 腎毒性 / 骨髄毒性 |
Research Abstract |
1.フリーラジカルの生産が関与する炎症性病変に対するメタロチオネインの防御効果:あらかじめ2日間絶食した8週齢雄のメタロチオネイン遺伝子欠損マウスおよび野生型マウスに、99.5%エタノール(6.2ml/mouse)をそれぞ1回経口投与したところ、メタロチオネイン遺伝子欠損マウスでは野生型マリスに比べて胃粘膜に著しい糜爛が観察された。また、この時、十二指腸の病理組織学的形態変化を観察したところ、メタロチオネイン遺伝子欠損マウスでは腸絨毛の表層から深部にかけての変性・凝固壊死、変性した粘膜上皮の剥離および出血が野生型マウスに比さて顕著に観察された。 金属毒性に対するメタロチオネンと重金属解毒作用を有する栄養素セレンの相互関係: あらかじめ低セレン飼料(<0.005ppm,通常の飼料中セレン濃度:0.4ppm)で6週間飼育して、メタロチオネイン遺伝子欠損マウスおよび野生型マウスの腎臓と肝臓中セレン濃度をそれぞれ30゚%と15%まで低下させることにより、塩化第二水銀(30μmol/kg)による腎毒性や塩化カドミウム(20μmol/kg)による肝毒性が著しく増強された。しかも、低セレン飼料での飼育によるこれらの重金属毒性の増強効果は、野生型マウスに比べてメタロチオネイン遺伝子欠損マウスの方が強く現れた。 以上の結果から、胃および十二指腸に存在する内因生メタロチオネインはエクノールによる胃や十二指腸の急性粘膜病変の軽減に有効であり、メタロチオネインは炎症性の病変に対しても生体内防御因子として重要な役割を果たしていることが示唆された。また、生体内において、内因性メタロチオネインおよび栄養レベルのセレンは、無機水銀の腎毒性や.カドミウムの肝毒性に対して互いに協調して防御的に働いていると思われる。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)