Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
我々は主として以下の2点について研究を進めてきた. ひとつは胸腺組織を中心としたヒトリンパ系器官の形態学的及び機能的解析であり,この研究の過程で胸腺実質の内部あるいは表面に接して存在するリンパ節(傍胸腺リンパ節)があることを見いだし,さらにこのリンパ組織の形態学的及び細胞構成的特徴を解析した.この傍胸腺リンパ節は,他の末梢あるいは腸管粘膜系リンパ節に比して,(1)皮質の発育が悪く,傍皮質領域が非常によく発達している,(2)髄洞・髄索の発達が非常に悪く,また,形質細胞がきわめて少ない,(3)リンパ球構成として,T細胞が多くを占め,B細胞が非常に少ない,また,T細胞においても,CD4細胞がCD8細胞の約5倍と,通常のリンパ節と比較して,その構成比率が極めて高い,等の特徴を有していた.これらの注目すべき特徴は,このリンパ節の機能と密接に関係していることが推測され,胸腺という一次リンパ器官とともにT細胞分化に密接に関係しているとの仮説を提唱し,引き続き研究中である.さらに,この傍胸腺リンパ節にみられた細胞構成の特徴が,リンパ球ホーミングと関係しているとの考えのもとに,末梢リンパ節・腸管粘膜系リンパ組織まで研究対象を広げ,これらリンパ組織の高内皮細静脈に特異的に発現する糖鎖抗原を調べた.その結果,ある種の血液型関連抗原が高内皮細静脈に特異的に発現しており,しかも組織特異性がきわめて高いことを見いだした(未発表).現在引き続き研究中である. ふたつめは,法医病理学的研究である.特に幼児虐待症例について詳細に検討し,ストレスと胸腺機能・胸腺細胞分化について新しい知見を得た.すなわち,胸腺はストレスに対してきわめて鋭敏な臓器であり,ストレスによって短期間に退縮するが,この退縮は主にbc1-2のdown-regulationが起こってぃるdouble positive stageの胸腺皮質細胞の特異的減少によってもたらされていることがわかった.
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