Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
筋組織の中で心筋及び胸筋について,そのミトコンドリア(mt)DNAにみられる,特定領域4,977bpの欠失と年齢との関係を検索した.材料は当教室の法医剖検例のうち,死因に心臓突然死を含まない症例で,生後1ヶ月から91歳で各年齢層に広く分布している47例の心筋及び胸筋組織50〜100mgを材料とした.DNAは定法に従いプロテイナーゼK/フェノール・クロロホルム法で抽出した. 初めにmtDNAの欠失の有無を検索した.PCR法によってATPase8とND5間の4,977bpの欠失の存在について,242bpの増幅産物が得られるように欠失領域を挟むPrimer pairを設定した.一方,欠失領域を含まない272bpをターゲットとしたPrimer pairでPositive controlの増幅とした.Positive controlの増幅が認められることを確認し,引き続き欠失領域の増幅の有無によって欠失の有無を判定した.この際,アガロースゲル電気泳動/エチジウム・ブロマイド染色で増幅バンドが観察されたものを「欠失が存在する」と判定した.欠失存在の最低年齢は心筋では29歳,胸筋では16歳であった.欠失非存在の最高年齢は心筋,胸筋共に47歳であった.年齢との関係では,心筋,胸筋何れも欠失存在群が欠失非存在群に比して,年齢が有意に高かった. 次にmtDNAの欠失量を定量した.47例中ランダムに15例を選択し,Competitive PCR法で定量した.年齢との相関については,欠失量は年齢に依らず幅広く分布していたが,例数が少ないために結論を導くためにはさらに追加の実験が必要とされた. 以上の結果より,mtDNAの欠失の存在や欠失量に対応する年齢層は広い分布を示しており,法医実務で応用するにはさらに検討を加える必要があった.
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