Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
前腕遠位筋から単一運動単位電位(single MUP)を記録しながら8の字コイルを用いて運動閾値の強度で大脳運動野を経頭蓋的刺激し,MUP出現潜時のばらつきをperistimulus time histogram(PSTH)で表すと,運動野に置くコイルの向きによって直接的に運動野の錐体細胞が刺激されるか,先に他の神経細胞の興奮が生じ,経シナプス的に運動野の錐体細胞が発射するかの差を検出することができる.われわれはパーキンソン病において1筋の随意運動時と,2筋の同時性随意運動を行わせて上記のPSTHパターンの変化を解析し,以下の結果を得た. 1. 上腕二頭筋から記録されるI waveの潜時は運動野に置かれる8の字コイルの向きによって変化し,その潜時差は錐体細胞にシナプス接続するどの細胞が優先的に刺激されるかによると考えられた. 2. 運動野に内向き電流が流れるように8の宇コイルを置くと,潜時の短いI waveが記録され,外向き電流が流れるように8の字コイルを置くと,潜時の長いI waveが記録された.すなわち,内向き電流では錐体細胞により近い細胞が優先的に刺激され,外向き電流では錐体細胞から比較的遠い細胞が優先的に刺激されると考えられた. 3. このコイルの向きとI waveの潜時の関係は昨年報告された遠位筋での解析結果と同様であった. 4. パーキンソン病患者では,第一背側骨間筋,上腕二頭筋のいずれからも外向き電流による長い潜時のI waveが導出しづらい傾向にある.したがって,外向き電流であっても刺激強度を上げていくと,最終的に短い潜時のI waveが記録された. 5. この現象は上記二筋単独あるいは同時収縮いずれにも観察された. 6. この現象はパーキンソン病では,視床から運動野への興奮性投射が減弱しているためと推定された.
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