Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
目的:平成9年度は心筋梗塞症急性期より自律神経機能を経時的に評価し、その自然経過や心機能障害との関係を研究した.平成10年度は、心筋梗塞症回復期の運動療法が自律神経機能に及ぼす影響について検討した。 対象、方法:初回心筋梗塞症15例を対象に発症後2週間経過した時点に呼気ガス分析を用いた心肺運動負荷試験を施行し、運動耐容能の指標として最大酸素消費量(Peak VO2)を求めた。運動療法群(Tr群)は座位エルゴメーターを用いてPeak VO2の70%強度で3回/週、一回30分の運動療法を3週間施行した。対照群(C群)は院内歩行のみにとどめた。運動療法前後で安静臥位にて圧受容体機能(動脈圧受容体:フェニレフリン法、心肺圧受容体:下肢陰圧負荷法)、血中ノルアドレナリン、レニン、バソブレッシンを測定した. 結果:Peak VO2はTr群18.4→22.5ml/min/kgと増加を認めたが、C群は不変であった。運動療法により、動脈圧受容体はTr群,C群共に有意な増加を認めなかった。心肺圧受容体はTr群45→60%、C群40→52%と各々有意な増加を認めたが、その増加率はC群に比しTr群で有意に大であった。安静時,最大運動時の血圧,心拍数は両群共に不変であったが、運動時血圧,心拍数はTr群でのみ有意な減少を認めた。神経液性因子は安静時の血中ノルアドレナリン,血中レニン,アンギオテンシンII,バソプレッシン共にTr前後で不変であった. 考案:本研究において心筋梗塞症回復期の短期(3週間)運動療法は運動耐容能の有意な増加,運動時の血圧,心拍数の有意な減少,心肺圧受容体の有意な増加を認め、心筋梗塞後、短期間の運動療法においても圧受容体の増加により血行動態の改善がもたらされる可能性が示唆された。今回、動脈圧受容体,神経液性因子が不変であったのは運動療法の期間が短かったためと考えられ、今後さらに長期間の運動療法が自律袖経機能に与える影響を検討する必要があると思われる。
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