Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
小児における心筋虚血の評価法として、心筋シンチグラフィー、心臓カテーテル検査などの侵襲的検査法として加算心電図を用いた心室内遅延電位測定について検討してきた。とくに、原因不明の全身性血管炎である川崎病の既往歴の明らかなものを主たる対象とした。心室内遅延電位は、Simson法Signal-averaged electrocardiography を用いて、3次元方向からの双極電位を誘導し、高感度増幅したものを平均加算し、電位が noiselevelの2倍以上となる点をQRSの開始点ならびに終末点とした。filtered QRS時間、QRS終末部40msec間の平均電位(RMS)、QRS終末部40μV以下の最短持続時間(LAS)の3つを測定した。Lp陽性の判定基準としては、早渕らの基準を用いた。Lp陽性率と心筋シンチでの心筋虚血所見陽性率、心臓カテーテル検査における冠動脈病変陽性率などとの相関について検討した。前年度の検討同様にLp 陽性と心筋虚血所見に関しては、心臓カテーテル検査で冠動脈病変の明らかなものでも心室内遅延電位が陽性とならないものもあり、その有用性については、specificityの点からも疑問であった。ただし、心室頻拍症や心室性期外収縮の小児例については、検討しておらず、今後も研究の新しい展開が望ましい。