Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
ヒト大腸癌担癌ヌードマウスにおいて、前年度までに確認されたアンギオテンシン-II投与による昇圧操作およびキニナーゼ阻害剤(エナラプリル)による血管透過性亢進作用により得られる放射能標識抗体の腫瘍集積性改善を、オートラジオグラフィにより腫瘍内放射能分布を詳細に検討すると同時に、線量計算を行い本操作による効果改善度を定量化した。これまでの検討で決定した各々の薬剤の至適投与量(アンギオテンシン-II2 μg/kg/min、マレイン酸エナラプリル30μg)、至適昇圧時間(1時間)による操作を行い、経時的に腫瘍を採取した。ヘマトキシリン-エオジン染色および抗CD34抗体による免疫染色により腫瘍血管の形態を観察した結果、操作後数時間から数日にわたって血管の拡張が認められた。I-131標識抗大腸癌抗体による経時的定量的オートラジオグラフィにおいて、絶対的腫瘍内放射能の増加に加え、腫瘍内放射能分布の均一性の改善が確認された。また、腫瘍への照射線量は本操作により1.6倍増加し、一方正常組織線量に変化はみられなかった。同モデルによる実験的放射免疫治療において、本操作により2.5倍の腫瘍発育抑制効果が得られたことを前年度報告したが、今年度得られた結果から、この腫瘍発育抑制効果は腫瘍照射線量絶対量の増加のみならず線量分布の均一化により得られるものであることが確認された。したがって、本操作による放射免疫治療の効果改善の背景にある機序が明らかとなった。
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