Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
診断装置の進歩や技術の向上と放射線治療装置の進歩や改良に伴い、従来よりもより小さな照射野で大量の放射線を照射する治療が普及しつつある。しかしながら、放射線生物学的には従来の放射線治療とは異なる部分も多くあり、適応症例の決定や治療効果判定に未だ不明の点も多い。このような背景を踏まえて本研究では、放射線治療の前後で構成成分た糖代謝がどのように変化するのかを、PETとMRSを利用することにより明らかにし、放射線の照射が腫瘍細胞や正常組織に与える変化を検討するとともに、症例毎の治療方針の決定や放射線治療後の早期における効果判定の可能性について検討を行ってきた。本年度はMRSによる研究を行った。実験用動物の放射線照射前後での構成成分の変化(MRSにおけるスペクトルの変化として検出・評価可能)を明らかにする方法論を確立した。具体的に明らかになった変化としては、NAA(N-acetyle aspartate)の減少、CHO(choline)の増加が確認できた。これらの変化は、従来の画像による評価(形態診断)では困難であり、時期的な検討でもより早期に検出・評価可能であった。引き続き平成10年度は、実験腫瘍を用いて放射線照射前後での構成成分や糖代謝の変化をMRSにて検討する。更に、PETによる比較も行い、構成成分や糖代謝の変化と治療効果との関係を明らかにする方法論も確立する予定である。