Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
胎児期や生後早期発症の重症細菌感染症に対して出生前に胎児の顆粒球系細胞の予備機能を子宮内で増強し、生下時直後より充分な宿主防御能を得るための新しい治療の基礎実験として、ラット胎仔へ顆粒球系コロニー刺激因子(rhG-CSF)を直接皮下注しrhG-CSFの血中動態と末梢・骨髄の反応性を検討することを目的とした。 【材料と方法】1)妊娠S/Dラットの胎齢21日目に、胎仔皮下へ直視下にrhG-CSFの100μg/kgを1回皮下投与し、投与前,1,2,4,8,10,12,24,48時間後(H)に各15匹の仔を帝王切開にて娩出し頚静脈から採血し、胎仔血清中G-CSF濃度(ELSA法にて測定)、胎仔末梢血白血球数と各分画比率を測定し、rhG-CSF没与後の血中動態と白血球動態を検討した。2)rhG-CSF(以下G)100μg/kgまたは同容量の生食(対照)を、娩出日(胎齢21日目)の2日前から隔日に1回投与(1回投与群)・娩出日(胎齢21日目)の4日前から隔日に2回投与(2回投与群)・娩出日(胎齢21日目)の6日前から隔日に3回投与(3回投与群)を行い、経日的な投与効果を胎仔の末梢血顆粒球数およびその分画・大腿骨切片の骨髄機能の指標であるMarrow Myeloid Cellularity Score(MMCS)・脾細胞塗沫標本で各群15匹において検討した。 仔の娩出は帝王切開にて行い、娩出後仔頚静脈から直ちに採血した。 【結果】1)rhG-CSFl回投与において、胎仔血清G-CSF濃度は、G投与後2時間でピーク(35000pg/mL)に達し、半減期は約4.4時間であった。胎仔末梢血の顆粒球数は投与数時間で著明に増加し8時間後にピークに達した。顆粒球数増加は主に好中球の増加によるものであった。2)経日的投与においては、分娩4日前(2回投与群)と6日前(3回投与群)からrhG-CSFを胎仔へ隔日皮下投与することにより、仔末梢血レベルで好中球数は対照に比し有意に増加した。仔の骨髄・脾レベルでは、娩出の6日前からrhG-CSF 100μg/kgの隔日3回皮下投与が生下時の好中球予備能を対照に比し有意に増強した。また2回・3回投与群の末梢好中球数は対照や1回投与群に比し有意に増加した。 胎仔はrhG-CSF投与に反応し、娩出の6日前からrhG-CSF 100μg/kgの隔日3回皮下投与により、出生直後から著明な骨髄予備能増強と末梢血顆粒球の増加が得られる。 本法は子宮内細菌感染の児に対して、出生前から児の骨髄予備能を促進させ、生下時直後から宿主防御能の増強を得る有力な手段となることが示唆された。
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