Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本研究では,歯周炎病巣への炎症性細胞の浸潤において歯肉上皮細胞がいかなる役割を果たしているかをin vitroで検討した.平成9年度ではヒト歯肉上皮細胞を単離,SV40T antigen遺伝子を同細胞に導入することにより長期継代培養可能な細胞を樹立した.さらに樹立細胞を用いてPorphyromonas gignvalisの刺激によりIL-8ならびにMCP-1のmRNA発現の上昇を検出した.この結果に加えて,平成10年度は以下の結果を得た. 1) L-8とMCP-1の蛋白質レベルでの産生についてELISA法を用いて検討した.また,併せてRANTES,MIP-1αおよびMIP-1βについても検討した.その結果,P.gingivalis Sonic extract(P.gingivalisSE)で刺激したOBA-9の培養上清中にはIL-8ならびにMCP-1の著名な産生増加が認められたが,RANTES,MIP-1αおよびMn)-1βは検出されなかった. 2) P.gingivalis SE刺激したOBA-9の培養上清中のヒト末梢血単球,好中球に対する走化活性を検討した結果,両細胞に対する走化誘導が認められ,この活性は,抗MCP-1,抗IL-8抗体でそれぞれ抑制された. 3) ヒト皮膚上皮細胞(HDEC)と細菌刺激に対する反応性について比較した結果,上記のごとくOBA-9において認められたP.gingivalis SEの刺激によるIL-8産生はHDECでは検出されなかった. 4) 免疫組織学的にヒト歯肉上皮層に強いMCP-1ならびにIL-8の産生が認められた. 以上の結果より,ヒト歯肉上皮細胞は歯周病原性細菌の刺激により炎症細胞の遊走,活性化させる因子を産生し,歯肉固有層への炎症細胞浸潤を誘導し,歯周炎の発症・進行に関わっていると考えられた.
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