Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
報告者はこれまでに,TGF-βとbFGFが歯髄細胞の増殖,分化および象牙質形成に重要な役割を担っていることを明らかにしてきた(Shiba et al.,1995.1998)。オステオカルシンは象牙芽細胞によって分泌され,象牙質に存在している。一方,歯髄の未分化な間葉系細胞はオステオカルシンを発現していない。このように,オステオカルシンは歯髄細胞の分化の重要な指標の一つであると考えられるが,その発現の制御は不明な点が多い。そこで,本年度は歯髄細胞のオステオカルシン発現に及ぼすTGF-βとbFGFの影響および骨組織におけるオステオカルシン発現の重要な調節因子である1,25(OH)_2D_3の影響について検討し,以下の結果をえた。 (1)TGF-β,bFGFおよび1,25(OH)_2D_3の個々の影響:歯髄細胞はTGF-β,bFGFあるいは1,25(OH)_2D_3の非存在下では,増殖期および増殖停止期のいずれにおいても,オステオカルシンを産生しなかった。1,25(OH)_2D_3は増殖期にわずかにオステオカルシンの産生を誘導するのに対し,増殖停止期にはオステオカルシンの産生とmRNAの発現を著しく促進した。TGF-βとbFGFは単独では影響がなかった。(2)増殖因子と1,25(OH)_2D_3の相互作用:bFGFはオステオカルシン発現における1,25(OH)_2D_3の効果を増強するのに対し,TGF-βは抑制した。 1,25(OH)_2D_3は歯髄細胞によるオステオカルシンの発現を誘導した。さらに,増殖因子,TGF-βとbFGFは歯髄細胞のオステオカルシン発現に異なる効果を示した。歯髄紬胞の分化および象牙質形成は,全身的因子である1,25(OH)_2D_3と局所因子である増殖因子が相互に作用して調節されていることが示唆された。
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