Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
ヒトの咬筋は咀嚼筋中最も強大で、筋厚や筋線維走行が咬合力の大きさに及ぼす影響は他の咀嚼筋に増して大きいとされる(Koolstra et al.,1988;Van Spronsen et al.,1996)。一方、咬合力方向の調節は咬筋と側頭筋の協調活動様式の変化を介して行われ(菊池ほか,1990;服部ほか,1991)、その際両筋はそれぞれの各部が異なる機能を営む、いわば機能的分化を示すと報告されている(服部,1991;岩松,1999)。しかしながらこれらはいずれも咬合点を1点に限った条件における検索であり、より生理的な、歯列同士の咬合接触に伴う咬合力と咀嚼筋活動様式との関連は、未だ明らかにされてはいない。 本研究の目的は、咬筋内各部の活動様式を、咬みしめ時に記録した下顎歯列における三次元咬合力の分布様式との関連において検討することにある。著者は平成8年度文部省科学研究費の援助を受け、下顎歯列上の多数の咬合接触点に作用する咬合力を同時かつ三次元的に測定する方法を開発し、報告してきた(服部ほか,1997)。本研究はその成果に基づき、既報のレーザー光の全反射を利用した方法と、咬合面形状の三次元計測に基づく方法の比較を行い、両者の測定精度がほぼ同様であり、簡便性や省力性、計測時間に関して後者が優れることを明らかにした。一方、咬筋内各部の活動様式の評価方法に関して、表面電極の貼付、極細ワイヤ電極の留置、針電極による探索の3法を比較した。その結果、表面電極は複雑な内部構造をもつ咬筋の局所的筋活動の検出手段として適当ではなく、針電極は記録範囲が狭小に過ぎること、また極細ワイヤ電極は記録範囲の特定や広さの点で最も有効であるものの、記録部位の同定が困難であることなどの問題点が判明し、咬筋の局所的筋活動の評価方法には、さらなる検討が必要との結論に達した。
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