Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
全身麻酔を受ける患者の80%が術中低体温になるといわれている。この術中の体温低下は,同様のパターンをとることが多いと報告されている。すなわち,麻酔導入後最初の1時間で中枢温は0.5〜1.5℃急速に低下,その後の2〜3時間で徐々に低下,それ以降は体温低下は停止し安定する。 今回,口腔外科手術患者の体温変動を観察し,定説とは若干異なる結果を得た。 [結果] 1. 末梢温,末梢血流量は麻酔導入直後より急上昇し,以後大きな変化を示さなかった。 2. 中枢温は導入直後より低下した(1.0±0.4℃)。しかし31.4±5.5分後に低下は停止し、以後上昇した。その経時的変化に有意差を認めた。 3. 平均皮膚温は導入直後より低下した(0.5±0.3℃)。しかし17.0±7.8分後に低下は停止し,以後上昇した。その経時的変化に有意差を認めた。 4. 全症例において,平均皮膚温の再上昇が中枢温の再上昇に先行した。 [考察] 麻酔導入直後の中枢温の低下は,麻酔薬により末梢血管が拡張し,中枢の熱が冷えている末梢組織へ移動するためと考えられており,本研究結果もこれに矛盾しない。 しかし本研究では,中枢温低下は早期に停止し上昇した。平均皮膚温も導入直後低下したが,中枢温よりも先んじて再上昇を開始した。 平均皮膚温の低下は,麻酔導入時に身体が低温環境に暴露したため,再上昇は導入後の適切な保温により,中枢から移動した熱の体表からの損失を押さえたためと考えられる。これが中枢温低下の早期停止および復温につながったと考察した。
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