Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
研究目的:知覚障害や運動障害を軽減させる新たな手術術式を確立する事を目的とし、脱神経筋の萎縮経過と再神経支配筋の回復経過について組織学的、組織化学的に検索する事を目的に研究を行った。実験方法:実験動物には日本白色種ウサギを用い、顔面神経表情筋枝の支配筋である頬骨耳筋を実験に用いた。正常な頬骨耳筋を対照に、実験1では支配神経に損傷を加えずに頬骨耳筋を露出した群、実験2として頬骨耳筋の露出に加え支配神経を切断し脱神経筋とした群、実験3として脱神経筋となった頬骨耳筋に対し、顔面神経口輪筋枝を移植し再神経支配筋とした群とした。検索方法:各実験群の頬骨耳筋を摘出し、H-E染色、Gomoriトリクローム染色、ATPase染色およびアセチルコリンエステラーゼ(AChE)染色を行い鏡検し、頬骨耳筋の筋線維タイプ構成比率について検索した。結果:対照と実験1の群では筋線維の萎縮や異常な組織所見はなく、実験2と実験3の群ではATPase染色によりタイプ2C線維の出現と筋線維の萎縮が確認できた。また、実験3では術後4週頃からタイプ2C線維の減少とともに、タイプ1線維や2線維が増加し、さらにAChE染色では神経筋接合部の活性が確認できた。交付申請書より変更した内容:申請では実験方法として脛骨神経支配のヒラメ筋と深腓骨神経支配の長鉦趾筋(EDL)を用いる予定であったが、ラット大腿部の解剖を行った結果、脛骨神経と深腓骨神経の完全な露出は不可能であった為、顔面神経表情筋枝の支配筋である頬骨耳筋を実験に用いた。