Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
胃H^+,K^+-ATPaseは胃酸の分泌を行うプロトンポンプであり、消化性潰瘍治療剤であるプロトンポンプインヒビター(PPI)の標的酵素である。本研究ではH^+,K^+-ATPaseのイオン認識部位、PPIの反応部位を、部位特異的な変異体、異種ポンプ分子間でのキメラ体を作製してそれらの機能を比較、解析することによって決定した。また、大腸のプロトンポンプを培養細胞に発現させて、その機能を解析した。 1. K^+-競合型PPIの反応部位の検索:K^+-競合型阻害剤であるSCH 28080の反応部位がH^+,K^+-ATPaseの触媒サブユニットの6番目の膜貫通領域近傍にあること。SCH28080の反応部位が一次構造上でもK^+の認識部位に近い、または一部重複することを見いだした。また、H^+,K^+-ATPaseにNa^+,K^+-ATPaseの構造を移植する形で、PPIに対してもNa^+,K^+-ATPase阻害剤であるウワバインにも感受性を示す新規のキメラポンプを作製した。 2. プロトンポンプのイオン認識部位の決定: H^+,K^+-ATPaseの触媒サブユニットの4番目、6番目の膜貫通領域中の酸性アミノ酸残基(Glu-345,Glu-822,Asp-826)がK^+の認識部位であることを見いだした。さらに、6番目の膜貫通領域の疎水性アミノ酸残基の変異実験から、αヘリックスの片側にK^+の認識や酵素活性の維持に必須のアミノ酸残基が集中して、イオン輸送路のような構造を取ることを確認した。 3. 大腸のプロトンポンプの機能的な発現: 胃プロトンポンプのアイソフォームである大腸のH^+,K^+-ATPaseのcDNAを培養細胞に導入してATPase分子を細胞膜上に発現させた。さらに、ポンプのイオン感受性、阻害剤感受性を検討して、このポンプがH^+,K^+-ATPaseとNa^+,K^+-ATPaseとの中間的な性質を持つことを確認した。
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