プロスタグランジンE2の生理作用における受容体サブタイプの重要性と医薬応用
Project/Area Number |
09771979
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 幸彦 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (80243038)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | プロスタグランジンE2 / 受容体サブタイプ / LPS / アスピリン様抗炎症薬 / 発熱 / 排卵 / 動脈管 / 遺伝子欠損マウス / インドメタシン / 新生児死亡 / 肺高血圧 / 動脈管開存 |
Research Abstract |
我々は、4種類のPGE2受容体サブタイプ欠損マウスの作製を試みた結果、4種類全てのサブタイプの欠損マウスを得ることに成功し、これらの解析によりPGE2が発熱や生殖生理に必須の因子であることを明らかにした。すなわちEP4受容体欠損マウスは、動脈管が出生後も開存する事により心不全を引き起こし死亡することを発見し、EP4が動脈管の閉鎖過程に必須の役割を持つことが判明した。またEP2欠損マウスは、雌でその排卵数・受精率の低下を認め、これを原因として出産数の著しい低下を来すことを見出した。EP2は排卵・受精の過程に重要な役割を担うものと考えられた。一方、4種類の受容体欠損マウスのうち、EP3受容体欠損マウスにおいてのみ、PGE2の脳室内投与による発熱反応の欠失が認められた。またこのEP3欠損マウスではPGE2投与のみならず、インターロイキン-1βの脳室内投与あるいは末梢投与による発熱反応も消失していた。さらに、EP3欠損マウスでは、マクロファージの応答性については差を認めないにも関わらず、菌体毒素であるリポポリサッカライドの末梢投与による発熱反応も欠失していたことから、感染をはじめとする炎症性の発熱反応にはPGE2が必須であり、その機能発現にはEP3が介達していることが明らかとなった。我々は既に、EP3受容体が血液脳関門の希薄な視床下部の視索前野ニューロンに発現していることを見出していることから、末梢血からのサイトカイン刺激により脳内で最初にPGE2シグナルへと変換され、EP3を介して発熱反応へと伝達を行うものと考えられた。従って、脳内に存在するEP3は解熱作用を期待した医薬品の直接の標的であると考えられ、前述のEP2やEP4に交叉性を示さない遮断薬を創出することで既存のアスピリン製剤の有する消化性潰瘍等の副作用のない薬物開発が期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)