Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
日本と米国における高齢者の医療消費量と医療価格を比較するために、主な処置を取り上げて通貨換算指標の開発の検討を行った。米国のデータとしては、1992年のNational Hospital Discharge Surveyを用い、65才以上の患者に多く実施されている処置の件数を用いた。処置はICD.9CMのコードを用いているため、これを米国医師会の発行しているCPT(Current Procedural Terminology)に対応させ、さらにこのコードを用いてFederal Registerに記載されているRVU(Relative Value Unit)を用いてメディケア・パートBでの医療行為の価格を調べた。RVUは地域によって係数をかけるが、本研究では便宜的にロスアンジエルスでの価格を計算して用いた。日本のデータとしては、1992年の診療報酬点数表を用いて価格を調べ、同年の社会医療診療行為別調査から老人医療における実施回数を消費量として用い、日米で医療行為の対応付けが可能であったものを使用した。高齢者処置として多く多く行われていたものは、頭部CT撮影、超音波検査、動脈造影、前立腺摘出術等であった。日米の価格と消費量を用いて価格指数を算出したところ、\1=61円と試算された。これは、OECDが報告している医療サービスの購買力平価指数(\1=71円)よりも日本の医療価格が安いことを示しており、処置に関しては日米の価格差が大きいことが示唆された。米国では、一般に手術等の処置に対して高い報酬がつけられているためこのような結果になったものと思われる。しかしながら、日米の医療行為の対応が困難なものもあり、また日本の診療報酬においては手術等の報酬が医師の技術料のみではないと考えられるため、さらに検討が必要である。