内在性不安誘発物資の脳内動態からみた薬物依存症診断法の確立とその治療への応用
Project/Area Number |
09772056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
応用薬理学・医療系薬学
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
桂 昌司 川崎医科大学, 医学部, 助手 (80204452)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 内在性不安誘発物質 / Diazepam binding inhibitor / 薬物依存 |
Research Abstract |
薬物依存成立とdiazepam binding inhibitor(DBI)生合成調節機構との関連性、およびDBIが内在性不安誘発物質であることをふまえて、退薬後の情緒障害との関連性についてより明確な見解を得ることを目的として、種々の依存性薬物による依存動物モデルを用い、DBImRNA発現およびその蛋白量の変化を検討した。その結果、alcohol,nicotine,cocaineおよびmorphineのいづれの薬剤の連続投与による依存成立時においても、DBImRNA発現量ならびにDBI蛋白量の著明な増加が認められた。また、これら薬剤の退薬症候発現時におけるDBImRNA発現量は、対照群のみならず依存成立群に比しても有意な経時的増加を示した。初代培養マウス大脳皮質神経細胞を用い、nicotine曝露に伴うDBI発現増加の機序を検討したところ、nicotineの持続曝露により誘発されるDBImRNA発現量の増加には、nicotine性acetylcholine受容体の活性化を介した電位依存性L型Ca^<2+>チャネルの開口に伴い生じる細胞内Ca^<2+>濃度の上昇と、それに続くCa^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase(CAM II kinase)の活性化が関与していることが明らかとなった。さらに、依存性薬物投与によるimmediately early gene mRNA発現量の変化について検討したところ、DBImRNA発現の増加に先行してc-fos mRNA発現量の上昇が認められた。したがって、DBImRNA発現の増加にはAP-1 transcription facterの活性化が関与していることが明らかとなった。以上の成績より、薬物依存成立過程ならびに離脱症候発現時に認められる精神症状の変化にDBIの脳内変化が関与している可能性は極めて高いものと考えられ、DBIの脳内変化による精神機能の変化を指標とした薬物依存症発症の評価法としての有用性が認められたことから、未だ統一見解の得られていない薬物依存症の病態解明とその治療方針に有用な基礎データが得られたものと考える。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)