Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
1. 半構成質問紙よる聞き取り調査:糖尿病性腎症(以下腎症と略す)保存療法期の患者5名に対し,腎症の認識および自己管理の取り組み状況について聞き取り調査をした結果(1)ネフローゼ状態で浮腫といった自覚症状があり,腎症を認識している患者でも,それが自己管理の動機とはなっていない。(2)将来への不安として,腎症の悪化よりも他の合併症の悪化や再発をあげていた。(3)主体的に自己管理に取り組み,自ら問題解決を図るというよりは「医師にお任せ」と考えている患者が2名いた。また他の患者にもその傾向が見受けられた。(4)現段階でQOLの低下を訴える患者はいなかったが,身体的にも社会的・心理的にも将来はQOLが著しく低下することが予測された。 2. アンケート調査:聞き取り調査の結果に基づき,セルフモニタリング機能に焦点を当て,アンケート調査を実施し,対象患者22名中14名より回答を得た結果(1)多くの患者は診察時の血糖値やHbA_<1c>の値と生活を関連づけて考えることができており,SMBGも6割の患者が実施し,自己管理に活用していた。(2)腎症の認識については,医師から腎症だと説明されている患者を対象にしたにも関わらず,半数の患者が自分は腎症ではないと回答していた。(3)蛋白質制限食を実践している患者は2名のみで,糖尿病食からの切り替えの難しさを示していた。 以上の結果より,腎症は自分の問題として認識しにくいこと,また認識していても自己管理の動機とはなりにくいことから,将来への見通しを含めて患者が腎症だと理解できるように援助する必要性が示唆された。今後はさらに腎症患者の自己管理の特徴とその要因について明らかにするとともに,今回は対象者が少なく十分な検討ができなかった蛋白質制限食の継続のための援助を開発する必要がある。
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