Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Research Abstract |
1.はじめに 本研究は,非常時における人間が住居を通していかに行動し生活するのかを探り,最終的には安全な住居の実現をめざすものである。今年度は「阪神・淡路大震災」を主な研究対象とし,既住地震を参照しながら,「生活復興過程の解明 -生活からみた住居のもつ意味・位置づけ-」「過去の地震体験と地震被害の規模に与える影響の解明」について研究を遂行した。 2.結果 阪神・淡路大震災を中心に既住災害と比較しながら応急仮設住宅の問題点を分析し,供与側である自治体に対し供与の考え方についてアンケート調査を実施した。その結果,仮設住宅は地域性を考慮した上で,地域の実情をよく把握できる市町村レベルで供与するのが望ましいと考えていることがわかった。しかし一方で,自治体は地域性を考慮した仮設住宅の計画の必要性を認識しているが,実際の供給計画はそれを具現化する段階まで至っていない。また,過去の地震体験が被害規模に与える影響について既住地震を含めて調査した結果、日本人は災害に対し対策を立てるのではなく,対応してその危機を乗り越えようとする傾向にあり,これは日本特有の自然観と宗教観に基づいたものであることがわかった。実際,阪神・淡路大震災による災害意識を長く保持するのが難しいことが,事例からわかっている。防災意識の薄れ・知識不足を補い被害規模を最小限に押さえるには,震災体験・災害文化を継承し,市民に対する早期防災教育の充実が必要である。 3.今後の研究課題 阪神・淡路大震災をはじめ,日本はここ数年大地震が比較的頻繁に発生している。今後はさらに過去の地震との比較を行い、社会・文化を包含した上で生活と住居に地震被害が与えた影響を考察し,日本の文化をふまえた上で,地震災害に対してなすべきことは何かを探りたい。
|