Project/Area Number |
09780033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
科学技術史(含科学社会学・科学技術基礎論)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
余語 琢磨 早稲田大学, 人間科学部, 助手 (00288052)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 実験考古学 / 窯業 / 焼成技術 / 酸化雰囲気冷却 / 還元雰囲気冷却 / 鉄分の挙動 / 中世焼締陶器 / 須恵器 / 還元焔焼成 / 酸化焔焼成 / 中世陶器 |
Research Abstract |
平成10年度は、平成9年度に行った須恵器焼成技術の研究に続き、中世焼締陶器の「還元焔焼成・酸化雰囲気冷却」技術の実験的復元研究と、考古遺物および焼成サンプルの自然科学的分析を目的とした。 1 平成10年7月20〜24日、12月23〜25日、平成11年3月10〜12日の3回にわたり、倒焔式実験窯で薪燃料による焼成実験を行い、中世焼締陶器の酸化色(赤褐色)および須恵器の還元色(青灰色)を得る焼成技術の差異の探求とあわせて、温度域・焼成時間・酸素供給量などのデータ化を図った。 2 分析用の考古遺物として、中世の代表的な焼締陶器生産地である越前焼(福井県)および珠洲焼(石川県)の出土品や復元焼成資料の提供を受け、実験窯における焼成サンプルとともに、岡山理科大学理学部に分析を依頼した。現在、X線解析による胎土中の鉱物組成の種類と量・金属結合状態および焼成温度、色スペクトル分光による色階調、炭素の吸着量などを分析・検討中である。 この結果、1に関しては、薪燃料窯による「酸化焔・還元雰囲気冷却」技術の確立を得るとともに、表面呈色のおもな要因として、胎土中の鉄分含有量の少一多と、冷却段階、特に1,150〜950℃間の窯内酸素量と時間が、色調の灰(黒)ー赤、淡ー濃と相関関係にあることが明らかとなった。2に関しては分析継続中であるが、須恵器と中世焼締陶器の最高焼成はともに1,200-1,300℃に及ぶこと、遺物および実験資料の呈色は3価鉄と2価鉄の微妙な挙動により大きく変化することが明らかとなった。したがって、須恵器と中世焼締陶器の焼成技術に大きな懸隔はなく、表面呈色は冷却段階の酸化・還元操作によって意識的に選択されたものであり、その呈色は、生産者の技術的系統・流通機構・使用者の需要など、多様な要素の複合的選択の結果であると捉えられる。
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