Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
本研究では,障害受容理論を援用し,スポーツ選手の怪我の受容に関わる要因について検討することを目的とし,平成9年度では「スポーツ障害受容診断尺度」の作成を主な目的としていた. まず,調査項目を作成するために,これまでに怪我(1週間以上の運動停止)をしたことのある大学生スポーツ選手に対して,自由記述による回答を求めた予備調査を実施した.自由記述に対する質問項目は.「怪我を負ったときの感情」,「競技復帰するまでの心理的な変容」,「回復過程における自己の心理・行動的変化」について尋ねた.さらに,中司が作成した「障害受容度診断検査」からもスポーツ傷害に関わりがあると思われる項目を抜粋し,本調査内容に修正して追加した.このようにして作成された尺度は全50項目であり,6段階による評定を求めた.調査対象者は,大学生スポーツ選手とし,最低1週間以上の運動停止を余儀なくされている選手,あるいは先述した運動停止の後,リハビリテーションを主としてトレーニングしている選手とし,その数は37名であった.また,対象者のスポーツ障害に対する反応の質的側面を検討するために,文章完成法テストも実施した.これについては,先行研究を参考にし,スポーツ傷害に関する反応が現れやすく主として自己概念に関する領域から12個の刺激文を選び作成した. 先に作成した全50項目の回答について,主成分分析・バリマックス回転を行った.因子の解釈にあたっては,因子負荷量が0.40以上のものを取り上げ,その質問内容から判断した.その結果,6因子が抽出された.しかしながら,本調査では限定された対象者を扱ったことからサンプル数が37名と非常に少なく,6因子の解釈に際してはより慎重な解釈を求められる.よって,来年度により多くのサンプルを確保し,再度主成分分析を施すこととした.本年度における段階では,第5因子までは解釈可能であった.それらは,ショック,否認,混乱,努力,受容と暫定的に命名が可能であった. 次年度では,今回の横断的な質問紙調査のサンプル数確保に加え,個を扱った事例に焦点を当て,スポーツ障害の受容に関わる要因の解明を行う予定である.
|