Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Research Abstract |
平成10年度の調査では、(1)昨年度入力した事例村の土地利用・土地所有のデータの分析,(2)インドの水利開発・政策の変遷の2点を中心に研究を行った。その結果,以下のような知見が得られた。 1。 用水路灌漑導入前後の土地利用については,自給自足的農業から商業的農業に移行していることが明らかとなった。土地所有においては,土地改革によって低層のカーストによっても土地所有がみられること,土地所有においてカースト間の格差があること,同様に同一カースト内においても格差があること,カーストごとに所有地の分布が偏っていること,用水路灌漑導入後は特に低層のカーストの者を中心に土地所有が減少していることを実証的に明らかにした。共同体的水管理成立の要因である土地所有の零細性はみいだされたが,カーストレベルにおいてその錯圃性はみいだされなかった。 2。 インドの水利開発は戦後大型ダムを中心として展開したが,1980年代より小型ダム中心となっている。また1970年代半ばから灌漑受益地域の再開発計画が実施され,その中で配水方法ならびに水利組織のあり方についての見直しの重要性が,各種政策・計画において前面に出されるようになっていることがみいだされた。 3。 平成9年度・10年度の結果について,国内研究者ならびにインド人研究者との意見交換を行った。その議論の中から,配水方法,水利組織の成立は当該地域の作付け作物が規定するという仮説が出された。特に米作であるかどうかが決定的な意味をもっていると考えられる。 本研究の成果の一部は, 「インドにおける法制度上の水利組織と配水方法」と題して論文発表したほか,日本地理学会土地利用・環境研究グループ例会(国士舘大学, 「インドにおける土地台帳と地籍図」)および日本地理学会秋季学術大会(北海道大学, 「インドにおける用水路灌漑導入前後の土地利用・土地所有の変化」)でそれぞれ口頭発表を行った。
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