Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
従来,重症心身障害児・者(重障児・者)の視機能については,受容系-処理系-出力系の認知心理学的枠組から検討され,彼らの障害特性やライフスタイルの独自性は考慮されなかった.彼らにおいては,介助者が常に介在し外界認知を促進させその成立をはかっている.そのため,彼らの視覚系は介助者を含むマクロシステムとして捉え,その特徴を明らかにしてゆく必要がある.本年度は,昨年度実施した介助者の介入効果について,さらに例数を増やし,測定条件もA-B条件からA-B-A条件に変更して,より詳細に検討を行った(検討1).さらに,注意の喚起・維持機能に介助者介入が及ぼす効果について,検討を行った(検討2). 概要は以下であった.1.対象児:重症心身障害児施設に入所する重障児・者10名.2.刺激:一系列の人関連複合刺激.S1を「人の出現」,S2を「再出現と働きかけ」としてS1-S2間隔5.5秒で15から20試行反復呈示する.3.測定条件:検討1では,介助者なしをA条件,ありをB条件として,A-B-Aの順で実施した.検討2では,介助者が対象児の上肢をガイドしボタンに触れさせることによってS1が呈示された.4.記録:(1)生体反応(眼電位図,心電図を磁気記録(2)行動反応(2台のカメラより頭部中心、全身中心のVTR録画).5.分析・処理:(1)生体反応A/D変換後,一過性心拍反応を定量化).(2)行動反応(注視行動生起率,快表情生起率を算出).6.結果と考察:検討1では,A-Bを比較すると介助者介入が反応促進に正の効果をもつ者を認めたが,B-Aでは差異は明瞭ではなく,刺激呈示の反復による練習効果の混合が考えられた.重障児において条件効果を検討する際,測定の順序や所用時間についてさらに検討を要する.検討2では,一部の者で,介入の正の効果を認め,他動的な運動であっても,外界刺激を自らが制御することが期待を促進することが示唆された.
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