Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
非単調神経回路網は簡単な学習アルゴリズムによって,その状態空間に軌道アトラクタを形成することができる.本研究の目的は,このような性質を利用して,連続的に変化する時系列パターンを空間パターンに展開することなく認識するモデルを構成することである.昨年度の研究では,比較的単純な時系列パターンの認識過程を解析し,中間部(隠れ素子)と学習信号生成回路を導入することによって,より複雑な時系列パターンを認識できるモデルを構築した.この結果を踏まえ,今年度は以下の研究を行った. まず,計算機上で条件を変えつつシミュレーション実験を大規模に行い,モデルの構造(各部の素子数)と認識能力との関係を調べた.また,中間部の動作を解析し,認識の失敗がどのような状況で起こるかを明らかにした.その結果,系列情報をどのようなパターンにコードするかという情報表現の重要性が浮かび上がったが,この問題についての詳しい検討は今後の課題である. また,双方向型構造であるというこのモデルの特徴を生かし,出力部に与えた単純なパターンから,複雑な時系列パターンを入力部に再生するという,逆方向のパターン変換に関する研究を行った.その結果,認識を目的として学習した回路網であっても,逆方向の再生がある程度可能であることがわかった.但し,この場合,出力部にパターンを与えるだけでなく,入力部に系列の先頭部分を与える必要があった.この問題を解決するためには,やはり情報表現についての再検討が必要である. 以上のように,新しい原理に基づく時系列パターン認識の神経回路モデルを構成するという所期の目的が達せられただけでなく,パターンの認識と発生,すなわちボトムアップ及びトップダウンの情報処理を統合するモデルへの発展性が示された.
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