Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
近年,過去の事例を基に新しい問題を解く事例ベース推論が注目されている.この推論システムの核となる事例データベースを神経回路に置き換えることができれば,人力層に問題を提示して少数の細胞の活性値を計算するだけで,出力層に問題に適応した解が得られるため,推論効率が高まるものと期待できる. 昨年までの研究では,事例データベースとしての神経回路が新しい事例を追加的に学習できるように,効率の良い追加学習法の開発を行って来た.本年度は,まず,昨年度までの研究成果を具体的な推論システムに実装した.構築したシステムは,女性の化粧を支援するためのカラーコーディネイトシステムで,ユーザーはテーマカラーと自分の顔の肌の色をシステムのコンソールを使って入力する.すると中に組み込まれた神経回路がこのテーマカラーと肌の色を入力として目の淵,眉毛の下,および瞼に塗るアイカラー3色を出力して表示する.しかしユーザーがその3色を気に入らなかった場合にはユーザがコンソールからその3色を修正し,追加学習ボタンをクリックする.するとシステムは次回からはユーザの修正を反映した出力を出すようになる.このシステムは既に当該研究者のホームページで公開され,インターネットを通して誰でも利用できる. しかし,神経回路が新しい事例を提示される度に確実に学習するようにした場合,その都度場当たり的に細胞を割り付ける必要があり,結果として冗長な中間細胞が増えてしまう.本年度はこれを解決するため,慎重に小数の細胞を割り付けながらゆっくり学習するS-Netと,S-Netのエラーを高速に補填するように多くの細胞を割り付けて学習を行うF-Netとを組み合わせた神経回路を構築した.この神経回路では,学習を続けるにしたがってS-Netのエラーは減少し,F-Netはゼロを出力するようになっていく.するとF-Netは自分の中間細胞のうち,ゼロ出力にのみ貢献する中間細胞を不要とみなして削除する.またこの神経回路の出力はF-Net+S-Netであり,学習の初期段階から全体(F-Net+S-Net)のエラーは小さく,朱だS-Netのエラーが大きい状態であっても推論が可能である.つまり推論システムの運用を行いながら,総細胞数を徐々に少なくしていける.だがS-Netの適応速度が遅いため,次々と領域の異なる新規パターンが提示され続けると,結局F-Netの細胞が増え続ける場合がある.これを解決するには定期的に新規パターンの学習をストップする以外に無い.そのため学習期間を昼と夜に分けて,昼は推論を行いつつ従来通りの学習をし,夜は新規パターンの学習をストップしてS-Netが(F-Net+S-Net)の出力を学習し,F-Netの冗長な細胞を削除するようにした.この昼と夜の学習を交互に繰り返すことでシステムは,常に総細胞数を少なく抑えながら推論を実行できるようになる.この夜の間の学習が生物における睡眠に対応する可能性がある.
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