Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では,ソフトウェアシステムの高信頼化技術としてよく知られている,Nバージョンプログラミングシステムとリカバリブロックシステムに着目し,従来の結果である,各ソフトウェアモジュールの信頼度が等しく,後者のシステムにおける受け入れテストモジュールの信頼度が十分高い場合は,この方式の方がシステム全体の信頼度の向上に寄与することが,新たにリアルタイム(実時間)性を導入した場合についても成立するか否かについて考察した.特に,各モジュールの処理時間に確率分布を与えることによりリアルタイム性を導入するアイデアはこれまでの文献には見あたらず,本研究のユニークな点であるといえる.本研究で得られた知見の一つとして興味深い点は,処理時間制約と各モジュールの処理速度の関係によっては,信頼度の観点からは優れた方式として知られる,リカバリブロックシステムの方がNバージョンプログラミングシステムよりも信頼度が劣る場合があり,その転換点を数式として導出することができた点である.また,本研究の応用として,上記の2つの冗長方式を発展させたNSCP(N self-checking programming)システムにおいても本研究のアプローチによる性能評価を行い,信頼度と処理時間制約との間のいくつかの関係を明らかにした. 本研究で用いた確率モデルによる評価手法では,各モジュールの処理速度パラメータを如何に与えるか,あるいはまた,モジュール数が増加するにつれて,解析の困難さが増すといった点が主な問題点となる.前者については,各モジュールにおける処理アルゴリズムの計算量から推定することを考えていたが,具体的な推定方式を開発することまではできなかった.また,後者の問題点については,モジュール数が10を越えるような場合のシステムの信頼度を解析的に導出するのは実用的ではないが,実際問題として,このような冗長システムでは,高々数個のソフトウェアモジュールから構成されることが多いという事実を鑑み,近似的な評価式を導出することなく,シミュレーションによる評価を行い一定の成果を得た.したがって,今後の課題としては,先に述べた各ソフトウェアモジュールの処理速度パラメータを合理的に与える手法の開発が挙げられよう.
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