Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
前年度に引き続き,原子団としてのトリチウム(T)の挙動を明らかにするため,各種イオン交換樹脂や金属水酸化物を用いて,トリチウム水(HTO水)との間で,OT-for-OH交換反応を平衡論的に観測し,各樹脂や金属水酸化物中に取り込まれる放射能値(OT^-量)を見積もった。本年度は,さらにHTO水の解離平衡に及ぼす温度の影響について,イオン交換樹脂の解離性の面からも考察するため,いくつかの温度において,各樹脂のpH滴定曲線の作製および総イオン交換容量の測定を行い,各樹脂の見かけの解離定数を求めた。 上記のことより,以下のことが明らかになった。(1)陰イオン交換樹脂(および金属水酸化物)とHTO水との間で原子団としての同位体交換反応が起こる。(2)この交換反応において陰イオン交換樹脂に取り込まれる放射能値は,温度が上がるにつれ減少したが,その割合は,アクリル系樹脂の方が,スチレン系樹脂の場合より大きい。(3)弱塩基性陰イオン交換樹脂に取り込まれる放射能値は,Cl^-形の方が,OH^-形より大きくなったが,これは,Cl^-形の場合,加水分解によってOT^-を取り込むためと考えられる。(4)遷移金属において,その金属イオンの電気陰性度が大きくなるにつれ,そのイオンを含む水酸化物中に取り込まれるOT^-量は小さくなる傾向が見られた。(5)2価および3価の水酸化鉄は,OT-for-OH交換反応において,温度に対して同じような挙動を示す。(6)HTO水の解離平衡は,温度が20℃から60℃に上がるに伴い,〓T^+OH^-〓への解離の割合は,2.7倍になるのに対し,〓H+OT^-〓への解離の割合は,0.24倍になると推定された。
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