Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
組織障害に応答した肝細胞増殖因子(HGF)の活性化機構はプロテアーゼカスケードを介するものであり,多様な生理作用を担うHGFとその受容体系の活性発現制御機構の解明は重要である。最近,HGFの局所的な活性発現を担うセリンプロテアーゼであるHGF activatorの2つの活性阻害因子(HAl)が申請者らにより単離され,HAlは膜結合性のKunitz型セリンプロテアーゼインヒビターであることが明らかになった。本研究ではこれら新しいタイプの機能蛋白分子の生体内における生理的意義を解明するため,発現系を作製しその生化学的性質を調べた。精製標品と同等のHGE活性化阻害能を有するHAlが動物細胞で発現していた。HGFとその受容体系の活性発現制御メカニズムを解明することを目的として発現蛋白を解析し,以下の結果が得られた。 (1) HAlに存在する個々の機能ドメインを動物細胞で発現させ,各ドメインのHGF活性化制御における役割を調べた。HAl1,HAl2に存在する機能ドメインの各所が欠失した変異蛋白を発現させ,個々の変異蛋白の生理活性を検討した。その結果,N末端側のKunitzドメインがHGF activatorの主要な相互作用領域であることが示された。この結果はKunitzドメインの点突然変異導入による機能変化の結果と一致し,またふたつのKunitzドメインの阻害作用が互いに干渉することが示唆された。さらにELISAによるHAlと HGF activatorのpHの変動に対する結合能の挙動より,HGFactivatorとの結合にLDLドメインの直接的寄与は弱いことが示唆された。 (2) HAl1とHAl2は共にN末端側にシグナル配列,C末端側に膜結合ドメインと考えられる疎水領域をもつ一方,精製蛋白の生化学的性質よりそれら前駆体がプロセツシングされ分泌型が生成するものと考えられる。そこで膜結合型・分泌型分子の個々の発現細胞における局在様式を解析した。HAl1,HAl2のそれぞれの抗体を作製し,細胞内分画法および抗体染色法を用いて発現細胞中における蛋白量の変化,分泌型/膜結合型の量比変化を比較検討した結果,HAlは膜結合型として存在し,プロセッシング酵素によって分泌型に変換するものと考えられる。さらに阻害剤特異性によりその分泌酵素はメタロプロテアーゼであるものと思われる(submitted)。フローサイトメトリーにより膜結合型HAlの挙動も検討した。HAlおよびそれらの膜結合領域欠損体のcDNAをGFPベクターに組み込み動物細胞中で発現させ,共焦点レーザー顕微鏡等を用いてin vivoでの遺伝子発現や蛋白質局在化を現在解析中である。今後は小胞体で生合成され細胞表層へ移行した膜結合型分子からの分泌型への変換およびそれ以後の蛋白分解に至るまでのプロセッシングの過程におけるHAlの機能制御に対する分子構造変化のメカニズムを明らかにしていきたいと考えている。
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